五章 それは爆裂する

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 ブツブツと小さな声で彼女は呟いている。  それは辛うじて、神経をとがらせ、鋭敏化している彼の耳にギリギリ届いていた。 「でも、タタラまで、奴らのせいで失いたくない」  そんな彼女の姿を見た彼は、一瞬陽炎のような淡い炎が舞い上がっているのかと、錯覚した。  薄らぐような儚げでいて、柔らかな炎。  しかし、包まれれば全てを焼き尽くす烈火の炎……  ゆらゆらとそれが目の前に静かに吹き上がっている。  彼は目を見張った。  それは坑道で見たときの彼女とは比較にならない…… 「これは僕の戦いだ」  明確な意志を持った声…… 「……」  そう……それでこそ……  お前は美しい……  素直にそう思った。
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