五章 それは爆裂する

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「へへっ……」  いたずらっ子のような無邪気な笑顔を浮かべ、彼女は離れた。 「さ、いっくぞぉ!」  左肩をグルグルと回し、一歩、一歩、カムジャの前へと出た。 「結局、お前か。待ちくたびれたぞ」  あくびを噛みしめるような仕草をしながら、彼は大きく息を吸い込んだ。 「別に二人同時でも構わないんだがね」 「余裕だね」 「それそうだ。いや、余裕ってことじゃないんだ。気を悪くするなよ? 戦いってのは純粋に楽しまなきゃいけないもんだ。だから、ちゃんと殺り合ってくれる相手に、力を出させずにやるってのは面倒なんだよ」  剣と剣を刃同士でなぞるように打ち合わせるようにする。
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