五章 それは爆裂する

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 不思議なことが起きた。  まるで地面がせせりあがるかのように彼の前に壁を作ったのだ。  畳替えしならぬ、地中返しとでもいうのだろうか。 「さぁ、次はなにを見せてくれるんだ?」 「ちくしょうが!」  舌打ちをしながらアイシャが出た。  小柄な体躯を生かし、低空から伸びるようなアッパーを繰り出す。 「そんなオーバーアクション」 「どうかなっと!」 「っ!?」  カムジャは繰り出される右腕ではなく、視界の隅にうつった左手を見た。  左の小指だけが曲がり、彼へと向いている。  その瞬間、彼は飛び退いた。 「くそっ!」  彼女が叫んだ瞬間、青い光弾が飛ぶ。
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