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「言うと思う?」
「思わないな。だからこそ、楽しみってのはあるもんさ。なぁ?」
視線を歯がみしながら見ているタタラへと移す。
地面に突き立てていた細身の剣を抜き、彼は一歩前に出た。
敵うとは思っていない。
だが、そろそろ我慢の限界だった。
それにさっきから、頭の中にあの声がひっきりなしに響いていた。
そんなとき、アイシャの視線がこっちに向いているのに気付いた。
傷だらけ、泥だらけの体……地面に這いつくばっていても、彼女の瞳から炎は消えていない。
アイシャ……
もう一歩踏み出そうとしていた足が止まった。
「んん? やらねぇのかい? どうした。びびったのかよ」
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