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そう考えていると、その土煙の中に何かが見えた。
それは紅い紅い背中だった。
「あれは……」
呟いたと同時にそれが煙の中から姿を覗かせた。
紅い体躯。
凶悪な牙をずらっとそろえた巨大な口。
翼はないが、その巨体を足二本で支えている。
遠目からみても、三メートルほどの巨体だ。
「ドラゴン……あれがそうか……」
最強と言われる飛龍種ではないようだ。
どう見ても、翼が見当たらない。
ただし、それでも人間からすれば、歯が立たない天災であるべき存在には違いない。
「ん? ……なに!?」
彼の目に異物が写った。
その紅いドラゴン……その背中になにかがいる。
「人……だと?」
ドラゴンからすれば、ずいぶんと小さい体躯だ。
それが背中にしがみついている。
赤髪の少年?
そう思っても仕方のないくらいの体つきにみえる。
理解すると、体が勝手に動き出す。
あのままでは、巻き込まれて死んでしまうだろう。
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