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混乱に乗じて、かっ攫うことくらいは出来るはず……
すると、その少年が右腕を振り上げた。
「え?」
そして、そのまま振り下ろした。
恐ろしい光景がそこにあった。
紅く、おそらく堅牢な鱗に覆われているはずの体がくの字に曲がると思った直後、紅いものが吹き出しだした。
―――――――ッッッッッッッッッ!!!!!!!
断末魔とも取れる、ドラゴンの叫びが辺りを包み込んだ。
その口からも大量のどす黒い血が吐き出されている。
どう見ても、致命傷だ。
「おいおいおい、なんだぁ、ありゃ?」
あまりの光景に唖然としてしまう。
でたらめなまでに破壊力なのだろう。
まさに有無も言わさずとは、ああいうことを言うのかもしれない。
「こりゃ、気合い入れていくかな」
やれやれと肩をすくめるが、その口元は楽しげに歪んでいた。
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