一章 紅いパートナー

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 街に到着すると、まず驚いたのが門だった。  骨だったのだ……  なにを言っているのか分からないだろう。  噂には聞いていたが、目にするとその迫力に呑まれてしまう。    "大口門"  "奈落の門"  "地獄の釜"  そんな渾名を耳にしていた。  確かに、どれも当てはまりそうなディティールだった。    体長はどれほどあったのだろうか。  その部分だけで、優に十メートルの高さはあるだろう巨大なドラゴンの頭部……  その頭部骨格が大きな口を開けて鎮座している。  ちなみに入り口はその口の奥だった。  誰が考えたのか知らないが、所見の者に対して恐怖心を煽ってくる。  ただし、骨自体はだいぶ古そうだ。  今は知らないが、昔はこのような化け物が地上を闊歩していたのだろう。  さすがに最近も、こんなのがいるのならば噂くらいは流れているだろうし、なによりもこんな街は破壊されているだろう。 「へぇ、見ない顔だな……」  門番に、通行証明の手形を見せると、ニヤニヤと顔をのぞき込むように見てこられた。 「ここは退屈せずに済むかい?」  そう聞くと、門番は意外そうな顔をしていた。
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