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「...じゃあ、そのことだったんだ。マキと心乃が付き合い始めたとき噂になってたの。なんか、『すごい条件』を心乃に出されたってやつ...」
「ね、私もなんでそんな話になってるのかビックリしたけど。否定するのも面倒だからそのままでいたら、ここまできちゃった」
そう言って笑った心乃の瞳にもう涙はなかった。
ただ、過去を懐かしむような穏やかな瞳。
でも次の瞬間にはまた目を伏せてうつむいてしまった。
「心乃...?」
「でも、そうなの。さっきりぃちゃんが言ったとおり。つきあって1年以上経つのに、まだ手をつなぐ以上のことが私にはできないの...」
このままじゃ、マキに呆れられてしまうのではないか。
心乃は口には出さなかったけど、そう思っているのは明らかだった。
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