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佳菜子の番になった時、佳菜子は悠と目が合った。
心臓がドキンと音を立て、情けない位に声が震えた。
「ご、5番。
あの、佐々木佳菜子です。
私、あの、声楽してます。」
悠は佳菜子の目をじっと見つめた。
赤みを注した薄い唇から悠の言葉が溢れた。
「アカペラで良い?」
佳菜子はコクコクと頭を上下に振り、喉をゴクリと鳴らした。
自分の歌声を悠に聞いて貰える、そんな幸せな気持ちで口を開いた。
「あー…ぁー……
すみません。
喉渇いちゃって……」
佳菜子は持ってきたペットボトルの水を口に含んだ。
4番が佳菜子の反対を向いてクスッと笑った。
1番はフーとため息をついた。
佳菜子は他の受験者の『早く終わってよ』という雰囲気を無視して、得意のアリアを歌い上げた。
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