第1章

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悠は佳菜子の歌を聞き終わると、いつから歌っているのかと、現在の活動を聞かれて終了した。 終了すると、佳菜子の感じた悠の熱い視線は隣の6番に向けられてしまった。 全員の演奏が終了すると悠はおもむろに椅子から立ち上がり、全員の顔を見回してから話し始めた。 「皆さん素晴らしかったです。 私は皆さんに手伝って頂きたいと思っています。」 これは全員合格の発表だ。 「幾つか質問があったのでお答えします。」 悠は言いづらそうに話を続けた。 「ギャラについてですが、ほとんど出ないと考えて下さい。 交通費位しか出ないという意味です。 次にマスコミについてですが、売名行為と取られたくないので、積極的アピールはしません。 あと、今後のスケジュールですが……」 悠の説明は淀みなく進んだ。 2番は露骨に嫌そうな表情をしていた。 佳菜子の様に『悠に会いたい』というミーハーな気持ちで来ている人はいなかったせいだろう。
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