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さて、それからと言うもの、佳菜子は劇団を辞めて悠と一緒に全国を飛び回る慰問ツアーが始まった。
悠のピアノに合わせて佳菜子が歌う。
佳菜子にとっては悠と一緒にいられるだけで幸せだった。
観客が囚人だろうと老人だろうと関係ない。
これが犬でもサイボーグでも人形でも同じ事だ。
悠が飼い主で佳菜子がペットという関係でも構わない。
どんなに虐(しいた)げられても、いや、実際には虐げられてはいなかったが、佳菜子は悠に付いて行くという選択肢以外が頭になかった。
佳菜子は貯金が底をつくと、アパートを引き払って悠のアパートに転がり込んだ。
さらに悠と一緒に同じアルバイトを始めた。
もちろん悠がピアノを弾いて佳菜子が歌うのである。
こうなると、縛っているのは悠だか佳菜子だか分からない。
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