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…………それから数分後。
「………これはどういう事ですか?」
「いや…えっと…ご、ごめんなさい」
私は何故か海さんに押し倒されています。
………“焦ったら転ぶ”と言っていた本人である海さんが転んだのですが、まさか私を巻き添えにするとは…
いや…二人三脚の紐が有りますから巻き添えにされるのは仕方無いとして。
何故私を押し倒したのでしょうか。
等と下らない事を考えながらも。
「謝るのは結構ですが、まずは退いて貰えますか?」
「………はい。」
未だに私を押し倒して、あろうことか胸を鷲掴みにしている不届き者を退かす。
「さて。“焦ったら転ぶ”等と宣った本人が転び、しかも…まぁ私も転ぶのは仕方無いとして、何故わざわざ押し倒して来たのか説明してくださいますか?」
「い、いや…転んだ時あのままじゃ零さんが頭打っちゃうと思ったので…」
「へぇ…だから私を抱き竦める様にしたのですか。」
「はい。」
「頭の下にあった左手の意味は分かりました。………じゃあ何で右手で私の胸を鷲掴みにしたんですか?」
感情が薄く見られがちな私でも人並みに感情はあり……平べったく言うなら、恥ずかしかったわけで。
聞けば。
「えっ…!?あ、す、すいません!何か凄い柔らかいモノ触ってるのは分かったんですが…その…む、胸だとは思わなくて…」
「……ぺったんこで失礼しました。」
「い、いや零さんそれなりに…って違います!あの…とりあえずごめんなさいっ!」
あまりに狼狽える彼が可愛らしく、私は。
「…………はぁ…もう良いですよ。ほら、早く紐結び直してください。競技始まりますよ?」
笑いながら手を差し出しました。
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