息継ぎ

23/24
11766人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
私は金魚。 身の程を知った金魚は口にしてはいけない言葉を知っている。 飲みこんだ言葉が胸の奥に静かに落ちると、瞼がじわりと熱くなる。 けれど、決して涙は見せない。 泣いたりなんかしない。 少し息が苦しくなったので、私は唇を開いて新しい酸素を吸い込んだ。 けれど、同時にその隙間から再び想いがこぼれそうになる。 私はそれを喉の奥に落としながら 彼にもう一度キスをした。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!