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私は金魚。
身の程を知った金魚は口にしてはいけない言葉を知っている。
飲みこんだ言葉が胸の奥に静かに落ちると、瞼がじわりと熱くなる。
けれど、決して涙は見せない。
泣いたりなんかしない。
少し息が苦しくなったので、私は唇を開いて新しい酸素を吸い込んだ。
けれど、同時にその隙間から再び想いがこぼれそうになる。
私はそれを喉の奥に落としながら
彼にもう一度キスをした。
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