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「‥‥‥‥‥」
―――どのくらいたったのだろうか。
ふと気付くと、燐がいつの間にか側にいた。
「‥‥‥燐」
燐は私を見て苦笑いをした。
「…アルバム、見たんだね」
私はこくりと頷く。
「‥‥‥サキは?」
その名前を聞いて目を瞑る燐。
「‥‥記憶戻ったの?」
「うん。‥‥‥少しだけ」
私は目を擦りながら答えた。
「…そっか」
小さい溜め息を吐く燐。
少しためらって、口を開いた。
「‥‥サキちゃんは、去年‥‥‥事故で亡くなった」
あぁ。
やっぱり
心の中で呟いた。
あの子は
死の道を歩んでしまったんだ。
そう思うと、余計に悲しくなった。
ぽろ
涙がまた溢れてきた。
「‥‥‥ッ」
止めようとしても、止まらない。
燐が心配をした顔で私を見ている。
「―――ごめん、しばらくは―――」
涙が邪魔で全部言いきれない。
堪え切れなくなって、顔を手で覆った。
ふと、燐が私を抱き締めた。
「‥‥燐?」
私は顔を上げた。
燐は私の顔を肩に押し付ける。
「…泣きたいだけ泣いていいよ」
その言葉に胸が詰まった。
「‥‥‥ありがとう」
私は燐にそっと呟いた。
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