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「あ。やっと起きたね」
遠くの方から燐の声がした。
目を覚ました私は、燐を探した。
「‥‥‥」
トントントン
台所の方から音がする。燐が何かを作っているのかな?
私はベッドから起きて燐の側まで歩いた。
「駄目だよ、碧ちゃん。まだ安静にしていないと」
燐はそう言いながら、テキパキと料理を進めていく。
「‥‥何を作っているの?」
私は燐を見つめながら聞いた。
「パスタだよ」
燐は私を見て軽く微笑む。
「もう少しで出来るから、向こうの部屋で待ってて」
「‥‥ん。わかった」私断る理由も無いので素直に頷くと、部屋に戻った。
燐の料理はすぐに出来上がった。
良い香りがする。
「お待たせしました」
そう言いながら、テーブルに料理を並べる。
「嫌いなものとかはない?」
「‥‥‥記憶ないから分かんない」
私は曖昧な表情をする。
「そうだね。‥‥ま、食べたら何か思いだすかもね」
燐は苦笑しながら言った。
「「いただきます」」二人同時に言った。少し笑いが込み上げる。
私達は、ぽつりぽつりと話ながら食事をした。何故かは分からないけど、場の空気は柔らかで、燐の料理は、とてもおいしかった。
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