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車に乗り込んだ俺は、とにかくアクセルに力を込めた。
「沙耶…ごめんな。…本当にごめん!」
櫻旅館に向かう途中で、沙耶の携帯に電話をするが、繋がる事は無かった。
「クソッ!!」
櫻旅館にも、何度も電話したが、やはり沙耶が見つかったという情報は貰えなかった。
だが、一つだけ。
旅館の仲居さんとの会話で分かったこと。
「彼女の携帯に何度も電話するんですが、繋がらなくて…」
「申し訳ありません。当館は携帯の電波が入らないんです…
本当に、ご不便をおかけ致します。」
「そんな…っ!」
櫻旅館に到着した時点から、沙耶は携帯が使えない状態にあるという事だ…
とにかく、迎えに行こう!!
「無事でいろよ…沙耶!!」
―――――――――――
―櫻旅館―
「すみません!望月と申しますがっ…」
「あっ、望月様!!」
電話でやり取りをしたあの声の女性が小走りで向かって来た。
女将さんの様だ。
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