毒リンゴ

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ゆっくりと、散歩コースの周辺も何か変わった様子がないかを見ながら歩く。 そして、沙耶を探し始めて1時間が経った頃… 「ん……雪…?」 雪が降り始めた。 寒さは、どんどん厳しくなる。 「望月様、雪が降り始めました。このままでは我々が遭難します。一旦、戻りましょう。」 「いやです!!沙耶は今もこの寒さの中、凍えているかもしれないんだ… 旅館に帰る時は沙耶も一緒にと、決めてるんです!!」 「…望月様。」 「ただ、ご迷惑は掛けたくありませんので、帰られるのであればお一人でどうぞお帰りください。」 「それ程までに…大切な方なのですね…」 そう言った番頭さんの声がとても優しく聞こえた。 「…はい。すごく、すごく大切なんです。」 俺は、真っ直ぐ目を見て答えた。 「太陽も無く、降り続ける深夜の雪は、身体が冷え切ってしまいます。 早く、見つけて差し上げましょう!!」 「番頭さん…ありがとうございます。」 .
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