16人が本棚に入れています
本棚に追加
ゆっくりと、散歩コースの周辺も何か変わった様子がないかを見ながら歩く。
そして、沙耶を探し始めて1時間が経った頃…
「ん……雪…?」
雪が降り始めた。
寒さは、どんどん厳しくなる。
「望月様、雪が降り始めました。このままでは我々が遭難します。一旦、戻りましょう。」
「いやです!!沙耶は今もこの寒さの中、凍えているかもしれないんだ…
旅館に帰る時は沙耶も一緒にと、決めてるんです!!」
「…望月様。」
「ただ、ご迷惑は掛けたくありませんので、帰られるのであればお一人でどうぞお帰りください。」
「それ程までに…大切な方なのですね…」
そう言った番頭さんの声がとても優しく聞こえた。
「…はい。すごく、すごく大切なんです。」
俺は、真っ直ぐ目を見て答えた。
「太陽も無く、降り続ける深夜の雪は、身体が冷え切ってしまいます。
早く、見つけて差し上げましょう!!」
「番頭さん…ありがとうございます。」
.
最初のコメントを投稿しよう!