毒リンゴ

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全く目を開けようとしない沙耶… でも、ちゃんと呼吸はしてる。 「番頭さん!俺、沙耶をおぶって行きます! どこか、近くの病院へ!!」 「まずは旅館に戻りましょう。車で行った方が早いでしょうから。」 「分かりました。」 俺は、沙耶を背中におぶり、山道を歩く。 「望月様、こちらです! 渡辺様!もう少しですぞ!!」 「沙耶!!しっかりしろよ!」 さっきまでの険しい道とは違い、遠回りだが歩きやすい道を案内してくれた。 「沙耶…頑張れ!もう少しだからな!!」 俺は、自分が辛いとか寒いとか、そんな事は一瞬も考えなかった。 ただ、沙耶の事ばかりだ… 30分くらい歩いただろうか。 やっと遠くに旅館の灯りが見えた。 「望月様、渡辺様。 あの灯りが見えますね!?あそこが旅館ですからな! もう少しですぞ!!」 「沙耶!もう少しだからな。頑張れっ!」 .
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