毒リンゴ

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番頭さんが、旅館に向けて、懐中電灯で何やらサインを送る。 すると、何秒もしないうちに、女将さんや仲居さんなどが毛布を持って来てくれた。 「渡辺様ー!」 「すぐに車を!病院へお連れしましょう!!」 「望月様、血が!!すぐに手当てを!」 仲居さんの1人が俺にそう言った。 「怪我…?」 確かに、腕に傷があり出血してる。 「いえ、手当ては結構です。俺は、沙耶と病院に行きます。」 「えっ!?でも、結構血が…!」 「沙耶が近くにいてくれる事が何よりの薬なんです。 今は…沙耶が目を覚ますまでは、1秒も離れたくないんです…」 「望月様…」 嘘、偽りのない俺の本心だ… 沙耶…頼む。目を覚ましてくれ…! 俺に笑いかけてくれ…!! 「車が来ました!」 その言葉を聞いて、俺は沙耶を包む毛布ごと抱き上げる。 すると… 「…ん…」 一瞬、沙耶がそう言った気がした。 意識が戻って来てるんじゃ!? .
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