記憶のカケラ

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藤井は、完全に誤解してる。 いや…違う。 理解する気が無いんだろう。 「沙耶ちゃんも、あなた達の後ろ姿を見てましたよ。 あの後で、あの人とイチャイチャ帰れるんですから、相当な神経ですね。」 「…言いたい事は、それだけか? 何を言われても構わない。 沙耶が本当の事を分かってくれたら、それでいい。」 「課長!」 俺の後ろから、聞こえた七尾の声。 「昨日は、どうして帰ってしまったんですか!? 一緒にいた女の人の後ろ姿…あれって皆本さんですよね…?」 「…そうだ。」 「何でっ!?」 「彼女を振り払った時、足に怪我をさせてしまったんだ。」 「怪我?大丈夫なんですか!?」 「七尾、騙されるな。」 藤井が、七尾の言葉を遮る。 「課長は今、あの女と一緒に暮らしてるんだ。」 「嘘っ!?」 「…違う。明日香が勝手に合い鍵を作って…」 「そんな言い訳で、沙耶ちゃんが納得すると思うか!?」 .
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