記憶のカケラ

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藤井が怒りを隠さず俺にぶつける。 「だが…本当の事だ。事実を説明する以外に、何をしてやれる!?」 「何かしてくれるつもりがあるなら… …別れてください。 幸い、沙耶ちゃんはあなたの記憶が無い。 俺が、沙耶ちゃんの全てを守ります。もう、関わらないでください。 苦しませない為に、一切会わないでください。」 そう言うと、藤井は背中を向けて歩き出す。 俺は、急いで呼び止めた… 「藤井!……悪いが、それは出来ない。 俺は昨日、カプセルホテルに泊まった。 明日香とは、一緒に居なかった。」 「…沙耶ちゃんの部屋には入れられません。彼女が混乱しますから。 それじゃ、車までお持ちします。」 「ちょっと待って、藤井さん!」 藤井は、俺の荷物を取り上げ、駐車場に向かう。 “帰れ”と、言ってるんだろう… 七尾が必死で止めようとするが、藤井が足を止める様子はない。 俺は、藤井の後を付いて駐車場へ行き、荷物を受け取った。 .
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