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こんな情けない考えを口にした俺に、女将は意外な言葉をくれたんだ…
「渡辺さまは望月さまを、それ程までに、深く愛していらっしゃったのでしょう…」
「えっ…?」
「深い深い愛情があるが故に、記憶を無くさないと忘れられないと思っていたのだろうと思いまして…」
記憶を無くさないと忘れられない愛…?
その言葉が、俺に力をくれた…
そうだ。
今、俺が弱気になってどうする!?絶対に沙耶の記憶を取り戻して、明日香が付けた傷を、俺が癒す。
誤解を解けばきっと分かってくれるはずだ!!
「女将さん…ありがとうございます。」
「とんでもない事です。さぁ、お部屋にお通し致します。
どうぞ、こちらへ。」
「はい。」
誘導された部屋は…
「望月さま、こちらでございます。」
「えっ…ここ……」
いつかの旅行本で見たあの景色…?
と、言う事は!
「はい。…お二人にお泊まり頂く予定だったお部屋でございます。」
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