10人が本棚に入れています
本棚に追加
仲居さんは、悲しい目をして丁寧に頭を下げた…
沙耶が記憶を無くしたのは、俺の責任だ。
俺の過去が、こんな事態を呼び寄せてしまったんだ…
「ふぅ…」
外に出て、タバコに火をつける。
「月は見えないな…」
そんな事を思っていると、目の前から歩いてくる人影…
「ん…?」
チラつく雪が俺の視界を悪くする。
だが、あの人影を俺は知ってる。
あのシルエット…
あの雰囲気は…!!
「あれはっ…!!」
そうだ。
誰より、何より愛しい人…
「沙耶っ!!!!!!」
俺は、大声で名前を呼び、急いで駆け寄る。
「沙耶っ!!何で、こんな所にいるんだ!?」
「えっ…か、課長さん!?
何でここにいるんですか!!?
ってか、見つかっちゃいましたね…」
「見つかったって…
病院にはちゃんと言ってあるんだろうな!?」
「えへへ。それが、言って無いんです。」
「なっ…!!みんなが心配するだろう!?
俺から連絡するから。」
「いいえ!!大丈夫です。」
.
最初のコメントを投稿しよう!