記憶のカケラ

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仲居さんは、悲しい目をして丁寧に頭を下げた… 沙耶が記憶を無くしたのは、俺の責任だ。 俺の過去が、こんな事態を呼び寄せてしまったんだ… 「ふぅ…」 外に出て、タバコに火をつける。 「月は見えないな…」 そんな事を思っていると、目の前から歩いてくる人影… 「ん…?」 チラつく雪が俺の視界を悪くする。 だが、あの人影を俺は知ってる。 あのシルエット… あの雰囲気は…!! 「あれはっ…!!」 そうだ。 誰より、何より愛しい人… 「沙耶っ!!!!!!」 俺は、大声で名前を呼び、急いで駆け寄る。 「沙耶っ!!何で、こんな所にいるんだ!?」 「えっ…か、課長さん!? 何でここにいるんですか!!? ってか、見つかっちゃいましたね…」 「見つかったって… 病院にはちゃんと言ってあるんだろうな!?」 「えへへ。それが、言って無いんです。」 「なっ…!!みんなが心配するだろう!? 俺から連絡するから。」 「いいえ!!大丈夫です。」 .
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