記憶のカケラ

36/38
前へ
/38ページ
次へ
「何故だ!?」 「本当の事が知りたいんです!!」 「本当の事…?」 「はい。みんな、何かを隠してる… 私…何も覚えいないのに、それは分かっちゃうんです。」 みんなが隠してる事…? 「そうか、分かった。 だが、病院に連絡くらいは…」 「ダメなんです!! 私…聞いちゃったんです。 藤井さんが看護士さんに、私が何か言ったら、すぐに藤井さんに連絡するように言ってるのを…」 「そうだったのか…」 「藤井さんが来たら、また何が本当なのかが分からなくなるから…」 「だが、なぜこの旅館に…?」 「……………」 急に、俺の目をジッと見つめて、黙り込む沙耶。 「どうかしたか?」 俺がそう声を掛けると、沙耶は左手で自分の胸元をギュッと握った。 「……分かんないんです…」 「分からない…?」 「課長さんだけなんです…」 「えっ?」 「私の胸がドキドキするの…課長さんだけなんです!! どうしてなのか…分かんないんです…!」 .
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加