記憶のカケラ

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「それはっ…」 「この旅館まで来たのには、何か理由があるんじゃないのか?」 「……」 「自分で、調べようと思って、ここに来たんじゃないのか?」 「…確かに、そうです。でも、私っ!!」 「ちゃんと知って欲しいんだ。」 「え、えっ…?」 「俺が、どれだけ沙耶を愛しているかを…」 「課長さん…」 もう、黙っていられない。 沙耶を混乱させてしまうかもしれない。 また、傷付けてしまうかもしれない。 思い出したくない事なのかもしれない… それでも… それでも俺はっ!! 「沙耶が好きだ。 俺たちの関係は、自分で調べて知ればいい。 だが、俺の気持ちは伝えたい。どうしようもないくらい…好きだ。」 「っっ!!!!」 言葉を詰まらせる沙耶… でも、少しの沈黙の後で慌てて首を横に振った。 「ダ、ダメです…!!課長さんには、彼女がっ!」 そう言った瞬間。 「渉!?」 俺の名前を呼ぶ声… マズい…この声は!! 「明日香…!?」 .
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