雪 月 花

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「過去を思い出した時、どんな辛い事も俺が受け止める。 どんな事でもする… だから、苦しくても、辛くても、俺の側に居てくれ… 最後には、必ず幸せにするから。」 課長さんのその言葉に、私は涙が溢れた… 「沙耶…」 泣き出した私を、ゆっくり抱き寄せてくれる課長さん… 温かい… この体温も、この匂いも…全てが落ち着く場所。 失った過去に何があったかは分からない… でも、きっと私は大丈夫。 隣に、あなたが居てくれるなら… きっと… 「…はい。……渉さん。」 「っ!?…お、思い出したのか!?」 すごく驚いた課長さん。 「ううん、前に言ってたじゃないですか。 私は、そう呼んでたって。」 「そう…か…。あぁ~ビックリした…」 「ふふっ。」 「あはは!」 失った時間は、きっと取り戻せる。 笑顔を交わしたこの瞬間、私はそう信じてた… 再び、明日香さんが私たちの前に現れる、その時までは… .
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