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藤井さんの背中が見えなくなるまで見送って、視線を戻すと
渉さんとフッと目があった…
―ドクン
「沙耶…」
「渉さん…」
私たちはゆっくりと歩み寄り、お互いの温もりを感じたくて抱き締めあった…
「沙耶…逢いたかった…」
「…私も、逢いたかったです。」
しばらくの抱擁の後、私たちは公園を手を繋いで歩くことに。
「渉さん…?
私ね、渉さんを待ってる間…月を眺めてたんです。
でも、何となく…初めてじゃない気がしました…」
「…大正解。
初めてじゃないよ。」
「えっ?」
「…俺たちが初めて出会ったのも、この公園だった。
その夜は満月で、俺は月が見たくて外に出たんだ。
…そして、沙耶を見つけた。」
「ほ、本当に!?」
「ああ…本当だ。」
「それで?どうやって出会ったんですか!?
渉さんは、どうして私を好きになったんですか!?
私が記憶を無くす前、何があったんですか!?」
私はまるで、別の誰かの恋物語を聞くように渉さんにアレコレと質問をした。
「クスッ。そんなに一度に言われても、答えられないよ。」
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