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「あっ…スミマセン。」
「沙耶。俺が話すこと、100%信じる?
それとも、自分で調べる?」
渉さんが、ジッと私を見てそう言った。
信じる?調べる…?
私は…
「信じます。
渉さんの言葉を、信じたいです…」
「……わかった。あの日、あの夜…」
渉さんは私の言葉に応える様に、穏やかに笑って、ゆっくりと出逢いから、私があの旅館に辿り着くまでの出来事を話してくれた…
初めて会った夜、そのままホテルに行っちゃうなんて。
それに、まさか、転勤先の会社で、再会するなんて。
私が、オタクとお見合いして、忘れ物を届けに来てくれた渉さんが、私のSOSを聞き入れて連れ去ってくれた話し…
私が、渉さんに告白した日、突然沖縄出張になっちゃった話し…
色んなすれ違いや誤解を乗り越えて、思いが通じた時の話し…
“どちら様ですか”と聞かれた時が、どれだけショックだったか…
って、握った手を更に強く握り締めて話してくれた。
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