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「私たちの間には、本当に色んな事があったんですね。」
「そうだな。本当に、色んな事があった…」
渉さんの話をすべて聞いた私が思ったこと。
そんなにも、色んな事があったなら…
そんなにも、幸せな時を過ごしていたのなら…
「忘れたくなかったです…」
「え…?」
「忘れたく無かった…悲しい事があったかもしれないけど
それでも、幸せな時間を過ごした事実と、幸せだと思える今があるから。
忘れたく無かったって、心から思ってしまいます。」
私は、本当に悲くなってしまった。
渉さんに、心から愛されて、満たされていたのに…
私は、その思い出を無くしてしまった…
渉さんが好きだったという想いと、鳴りやまない心臓で、過去との因果を感じる瞬間は確かにある。
でも、それが何なのか。
何があって、こうなっているのか、分からないことばかり…
「沙耶。」
そんな私の心の声が聞こえてしまったのか、渉さんは私に優しく声を掛ける。
「…はい。」
「言っただろ?また一緒に始めようって…」
「えっ…?」
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