聖なる夜に

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私の頭の中は、まるでものすごい雪が降った後の様に…真っ白。 その言葉を、すぐには理解出来ずにいた。 「もし、仕事が楽しいなら続けても良い。 何年でも、待つ覚悟はある。 ただ…今、この気持ちはどうしても伝えたかった。 俺が…沙耶のこれからの“過去”を作りたい。」 「……う、そ……!!?」 「嘘?ははっ。 こんな人生を変える決断を、嘘でも、冗談でも出来るわけないだろ? もう俺には、沙耶しかいらない。」 渉さんはそう言って、くるっと後ろを向いた。 背中を向ける渉さんに、私は少し不安を感じる… 「今から10数えた後に振り返る。 もしOKならここにいて。 でも、ダメなら…どこか見えない所にいて…」 「えっ…?」 運命の時間、10秒…? 「数えるよ? 1、2…」 渉さんが数を数え始めた。 私は、少しずつ…ゆっくり歩き出す… そして… 「3、4…おわっ!!」 渉さんの背中に思いきり抱き付いた。 「10秒も…要りません。」 .
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