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「皆様、大変お待たせ致しました!!
新郎、新婦さまのご入場でございますっ!!」
扉が開き、大勢の人が拍手をくれる。
「うわ~!キレイ!」
「課長、やっぱり超イケメンだし!!」
「沙耶、本当にキレイ!」
「おめでとう!沙耶!!」
今まで、俺を…沙耶を支えてくれた人たちに祝福されて、歩き出した。
満月のイタズラで出逢った俺たちは
いつくもの偶然を“運命”に変え
いくつもの試練を“絆”に変え
いくつもの傷を“愛”に変えた…
沙耶の記憶は、今のところ戻っていない。
戻すことは出来なかった。
だが、もう俺たちには関係ない…。
確かに沙耶には、気持ちが通じ合えた瞬間の記憶が無い。
だが、俺は覚えてる…
俺が、沙耶を愛した瞬間を…
沙耶が俺を求めた瞬間の全てを覚えている…
俺が、2人分の記憶を心の奥に大切にしまっているから。
だから、大したことじゃないんだ…
「課長…沙耶ちゃんを頼みました。」
藤井の前を通った時、確かにそう言った藤井に笑顔で頷く。
藤井も、笑顔を返してくれた…
みんなに祝福されて、
色んな人を傷つけて、
全ての人に守られてる。
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