一期一会?

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「でも、恵は優しくて素直ないい子よ。私はそれを知ってる。ほかの人は恵の事がわからないから、違う所ばかり気になるのよ…。でも、恵がそのままいい子だったら絶対、わかってくれる人はいるよ。好きになってくれる人もいるから…そういう人を探しなさい」 母親はそこで微笑んだ。その笑みは芹沢の記憶の中で強烈に印象に残っている。 その言葉がきっかけだった。その言葉によって芹沢は変人だと自覚し、かつ「周りとなじまなくてよい」と思えるようになったのだ。 そもそも人間関係は煩わしい。芹沢が変人であることだって、大多数の人にとっては些細な、気にかける必要もないことのはずだ。なぜ自分の一挙一動がそんなに気になるのか…?高校生になった今も、変わらず疑問に思っている。 そんな風に、一種の悟りとも思える心境にいたったのは、母親からの言葉と同時に、大好きだった本の影響もあると思っている。
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