1. ある変人とその出会い

一期一会？

そんな芹沢が、校内で一番好きな場所はもちろん図書館だ。

高校の図書館は校舎とは別に、校内でも少し奥まった場所にあった。周りも樹に囲まれていて、生徒たちの喧噪もあまり聞こえない。

初めてこの図書館に来た時に一目で気に入った芹沢は、自ら立候補して図書委員になった。

図書委員の当番として、放課後にカウンターに座っている時が一番幸せだ。放課後は利用者が来ることは稀なので、図書館を貸し切っているような気分が味わえる。

同じクラスの間宮徹(まみやとおる)という図書委員も居るにはいるが、間宮は当番をする気がないらしく、あまり姿を見せない。いつも荷物だけ置いて、どこかに行ってしまうのだ。

静かな場所で、物語の世界に浸るのはとても楽しい。誰もいない場所で、芹沢は思う存分本の世界を楽しんでいた。