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「稔麿! 新撰組がっ! 池田屋があいつらに突き止められたっ!!」
酷く慌てた様子で晋作が部屋へと入ってくる。その顔は今までにないくらい焦っているから、只事ではないというのが私でもわかった。
「やはり古高が漏らしていたんですね」
「多分……そうだと思う。クソッ! でも、助けに行くしかねぇよな」
「でしたら僕が。追手くらいなら相手に出来ますし。晋作が行くわけにはいかないですからね」
刀を腰に差し、稔麿は立ち上がる。なんだか嫌な予感がしてきた。
行ってほしくない。
その気持ちが無意識に現れたのか、袖を思わず引っ張ってしまう。
「綾……?」
「……なんでもないっ。早く、帰ってきてね」
引き留める事なんて出来なかった。誰がいるのかわからないけれど、ここで接した人もきっといるのだろう。
みんな、得体の知れない私に優しくしてくれたから。
そんな人達を助けに行こうとしている稔麿を、止める事なんて出来なかった。
「大丈夫。すぐ帰ってきます。逃げてきた人の手当とか、よろしくお願いします」
「……わかったわ」
不安で胸がいっぱいになる。本当に帰ってきてくれるのだろうか。
私は私に出来る事をしなきゃ……。絶対帰ってきてくれるよね。
「晋作。全員生還、なんて期待はしないでくださいね」
クスリと笑って、稔麿は部屋から出て行った。
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