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◆ 「稔麿! 新撰組がっ! 池田屋があいつらに突き止められたっ!!」 酷く慌てた様子で晋作が部屋へと入ってくる。その顔は今までにないくらい焦っているから、只事ではないというのが私でもわかった。 「やはり古高が漏らしていたんですね」 「多分……そうだと思う。クソッ! でも、助けに行くしかねぇよな」 「でしたら僕が。追手くらいなら相手に出来ますし。晋作が行くわけにはいかないですからね」 刀を腰に差し、稔麿は立ち上がる。なんだか嫌な予感がしてきた。 行ってほしくない。 その気持ちが無意識に現れたのか、袖を思わず引っ張ってしまう。 「綾……?」 「……なんでもないっ。早く、帰ってきてね」 引き留める事なんて出来なかった。誰がいるのかわからないけれど、ここで接した人もきっといるのだろう。 みんな、得体の知れない私に優しくしてくれたから。 そんな人達を助けに行こうとしている稔麿を、止める事なんて出来なかった。 「大丈夫。すぐ帰ってきます。逃げてきた人の手当とか、よろしくお願いします」 「……わかったわ」 不安で胸がいっぱいになる。本当に帰ってきてくれるのだろうか。 私は私に出来る事をしなきゃ……。絶対帰ってきてくれるよね。 「晋作。全員生還、なんて期待はしないでくださいね」 クスリと笑って、稔麿は部屋から出て行った。
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