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古高が新撰組に捕まったとなれば、会合の場所が割れるのも時間の問題だ。 少人数に対して大勢で取り囲む卑怯な手を使うあいつらのことだから、バレてしまえばひとたまりもないだろう。 もし、僕が負けてしまったら綾は……。 「稔麿」 思考を遮るように僕を呼ぶ声が響く。静かに障子を開けて綾が入ってきた。 やけに遅かったなと思えば、濡れた黒髪が余計に時間がかかった意味を教えてくれる。 「なんか考え事? 難しい顔してるけど」 「……ああ。綾があまりにも色っぽいので見惚れていただけですよ」 するりと綾の手元から手拭いを抜いて、毛先から垂れそうな水滴をそっと拭き上げる。 綾の耳に触れると、”んっ”と艶っぽい声を出すものだから顔が僅かに熱くなった。 今ここにはほとんど人はいなくて、ましてや自分の部屋に訪ねてくるは元よりあまりいない。 「稔麿……?」 少し上目遣いで見つめてくる切れ長の目。真っ黒な瞳はとても澄んでいて吸い込まれそうだ。 綾を大事にしたいと思う傍ら、二人っきりという状況に加えて色っぽい様子に鼓動が速くなっていく。 「顔赤いけど。熱でもあるの??」 「い、いえ。何も。大丈夫ですよ」 「無理はだめよ。布団敷いてあげるから」 綾がテキパキと布団を敷いてくれたけれど、今の僕にとっては逆効果だ。 手を出すに最適な状況が出来上がっている。
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