死神さんは愛さない

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眼下に広がる下校し出した生徒の姿を見て、ペッと唾を吐く。 ーーーいつからだろう。 「あいつに好かれると死ぬらしいぜ」 そんな噂を立てられるようになったのは。 「あの子が好きになった人ってみーんな、怪我したり事故に遭ったりしてるらしいよ」 「何それ。なんかまるでーーー”死神”みたい!」 「怖ーい! 近付くのやめとこっと!」 自分の周りに人がいないことが当たり前になったのは、ずっと前の気がする。 むしろ、最初から人なんていなかったのかも。 『死神なんて呼ばれる子、怖いわ……』 ”死神”と呼ばれ、なんとなくで生きていくのはもう、疲れた。 こんな世の中やってられるっかっての。そんなこと言われるくらいなら、いっそのこと死んで本当の”死神”になってやろうか。 三神 綾(みかみ あや)、17歳で人生諦めます。 学校の屋上から遠目に見えるスカイツリー。 そういえば昔は、東京も江戸なんて呼ばれて侍の国だったんだっけ。 死ぬ前に至極どうでもいいことを思い出す。 そこらへんでバッタバッタ人が死ぬ時代だったら良かったのに。 そしたら誰も、私のせいで死んだなんて言わなかった。 ゆっくりと一歩踏み出せば、身体がふわり宙を舞う。 ふわりと私の身体を撫でる4月の風は、暖かくて心地良い。 目を閉じると、今までのことが走馬灯のように頭の中に浮かんだ。
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