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「目、開けろよ」 大人しく言うことを聞く気なんて更々無い。 ぎゅっと固く目を瞑ると、襟元から手が滑り込んでくる。 「何すんのよ!」 「目開けてくれたね」 「あっ」 斎藤の行動に釣られてつい、目を開いてしまって馬鹿だなと思った。 「そうやって目瞑ったらつまんないじゃん。俺を楽しませてよ」 「意味がわからない」 「もっと抵抗してくれなきゃ。でもって、俺を見てよ」 両手で顔を挟まれて、斎藤から目を逸らすことが出来なくなる。 かと言って目を瞑ればまた、変な行動をされるかもしれない。 本当最低。なんなのよ、こいつ。 精一杯の憎しみを込めて、睨みつけると斎藤の唇の端がきゅっと上がる。 「そうそう。そうやって俺が嫌で堪らないって顔をして。そんな女を虐めるのが好きだから」 「加虐趣味なのね。ここは変態しかいないのか」 「あははっ。変態ね。良いよ、それでも」 こいつは、誰よりもタチが悪い。 比較対象が藤堂くらいしかいないから、そう思うだけかもだけど。 「お話はここまで。綾ちゃんが欲しいのは本当だから。ここでしよっか」 にっこりと全く優しさのこもっていない笑みを見せると、斎藤と私の唇が重なった。
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