2

20/26
前へ
/121ページ
次へ
無理矢理押し付けられるように重ねられた唇。 でもって、斎藤の舌が上唇をなぞるように舐めるから、寒気がしてならない。 「舌入れられないようにってしてる?」 「当たり前。もし入れてきたら噛みちぎってやるから」 「綾ちゃんが抵抗すればするほどさ、俺は益々したくなるんだよ」 斎藤一って言ったら、割と強い人だったとか言われてた記憶がある。 確か、クールで無口な剣士、みたいに歴史好きな子達が騒いでいた。 目の前にいるこいつはクールの欠片もないんだけど。ただの変態野郎じゃない。 グッと顎を掴む手は、顔の形が変わるんじゃないかってくらいの力を込めている。 指がめり込んで痛い。 でも、それを口にしてしまえば負けな気がするから、代わりに睨みつけるだけで止めておいた。 「平ちゃんより、俺の方がよっぽどイイと思うよ」 「性格が? 悪いけど、ここに性格の良い奴なんて一人もいないわよ」 「顔も性格も……なんなら、経験だって……ね」 こんな奴とヤるくらいなら、殺される方が断然良い。 女として惨めな思いだけはしたくない。 「離しなさいよ」 「そうそう。離してくれないと困るよ。誰に断って人の物に手を出してんの?」 チッと舌打ちをして斎藤が後ろを向く。 いつの間にか斎藤の後ろには藤堂が立っていた。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

168人が本棚に入れています
本棚に追加