~Lovers of one day~

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――バサッ、バサバサッ 「わぁ、相変わらず鮮やかねぇ。じっと手元見てたけど、ぜーんぜん分からなかったわ。 ただのスカーフから鳩ちゃんが2羽も出てくるなんて、すごいっ」 「そりゃ、俺も一応プロの端くれだからね」 「あら、職業はエンターテイナーじゃなかったの?」 「そうとも言う」 「ふふっ。ところで、この鳩ちゃんたち、ほんとにいい子たちねぇ。 おとなしいし、良く懐いてる。公園で練習してても逃げないし」 「まぁね。なんせ、俺の相棒たちだからね」 「2羽とも、ほんとに可愛いわぁ。 ほら、こっちおいで。ペロちゃん、ピーポくん」 「ちょ、那智? 何、今の! 何、勝手に名づけてんの? てゆうか、ペロちゃんはともかく、後のほうは駄目なヤツだから! 知らなくてつけてたとしても駄目なヤツだからっ!」 「……なんで?」 「なんで、でも! ほんと、そういうトコ、天然だよね。あなた。 それにコイツら、もう名前あんだよ。政宗と幸村ってのが」 「うわ、全然可愛くないネーミング。 戦国武将シリーズなら、忠勝と左近がいいな。私。カッコいいもの」 「うわ、シブすぎ。というか、前から思ってたけど、那智っておじさま好きだよね。 もしかして、年上のほうが好みだったりする?」 「そうねぇ。頼りがいがあるほうが、そりゃ、いいわよね」 「……年下は頼りないってこと?」 「え? るーは、ちゃんと地に足を着けて立ってる、“ 大人の男 ”でしょ? 頼りなくなんてないわよ。全然」 「……っ、そ、そう。ありが、と……」 ほら、こういうトコも天然で、困るんだ。このひとは。 1歩近づいて、那智の頬にそっと手を伸ばし、左目の下の泣きボクロを親指でそっとなぞる。 俺を見上げてくる、ぱっちりとした瞳は一見きつそうな印象だけれど、意志の強さをも表してて、俺はこの瞳が大好きなんだ。 「那智……いい?」 返事を待たずに、唇を重ねた。 初めて出逢ったあの日からずっと、このひとのことだけを想ってきた。 「……んっ、琉貴……」 普段は『るー』呼びなのに、こういう時だけ、『琉貴』って呼ぶところも、堪んない。 「――好きだよ、那智」 これからもずっと、俺には、あなただけだよ。 ―END―image=505675360.jpg
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