ピンクのミトン

2/19
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
 祖母がわたしの家で一緒に暮らすことになったのは、夏の終わりのことでし た。  それまで祖母は山間の村で、祖父と一緒に暮らしていました。  でも、去年の暮れに祖父が亡くなってからは、ひとりぼっちになってしまいま した。 「もう年なんだから、何かあってからじゃ遅いでしょ」  母はそう言って、祖母に「一緒に暮らそう」と言いました。  わたしの家は、両親とわたしの三人家族でした。  わたしは一人っ子なので、親以外の同居人が増えることが、なんだか不思議な 感じがしました。 「里香は覚えているでしょう、おばあちゃん」  母がわたしにききました。  わたしは去年、祖父が亡くなった時に、一度だけ会ったことがありました。  それ以前はまだ小さかったので、よく覚えてはいませんでした。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!