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祖母がわたしの家で一緒に暮らすことになったのは、夏の終わりのことでし
た。
それまで祖母は山間の村で、祖父と一緒に暮らしていました。
でも、去年の暮れに祖父が亡くなってからは、ひとりぼっちになってしまいま
した。
「もう年なんだから、何かあってからじゃ遅いでしょ」
母はそう言って、祖母に「一緒に暮らそう」と言いました。
わたしの家は、両親とわたしの三人家族でした。
わたしは一人っ子なので、親以外の同居人が増えることが、なんだか不思議な
感じがしました。
「里香は覚えているでしょう、おばあちゃん」
母がわたしにききました。
わたしは去年、祖父が亡くなった時に、一度だけ会ったことがありました。
それ以前はまだ小さかったので、よく覚えてはいませんでした。
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