第1章

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三十路を前に私がすべき事は、仕事だった。 二十代後半に入ると今までの夜遊びが嘘のように、同期は幸せに溢れた顔で会社を去っていく。 所論、寿退社という奴で。 共働きが増える現代でも時間に不規則な仕事に女は向かない。 それなりに居た彼氏とも最後は仕事を辞めるか辞めないかで揉めては別れた。 仕事は好きで出来る事なら辞めたくなくて。 忙しなくしていたら、父が他界してから一人で実家に住んでいた母がアルツハイマーになっていた。 だから、好きとか嫌いは無くなって。 仕事はしなければならない物へと変わってしまったけど。 その瞬間に恋愛を捨てた。
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