第2章~ミク進化する~

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それに、ミクもミクで、部屋の中に物心ついた時から地球儀が置いてあっても、そこに描かれている模様に興味があり、それを真似て描きたくて描いていただけだったので、例えば自分が地球儀の中の日本を真似て紙に細かく描いていても、それがなんであるか?という疑問は初めから微塵も浮かんで来なくて、ただ描きたい部分を上手に描けたかどうか?だけで満足して過ごしていたから、地球儀なんてモノは、ずっとずっと学校という場所で〔オマエはオカシイ!〕と指摘される時までミクにとってただの青くて丸い綺麗な絵の塊でしか無かったのだ。  {今日から宜しくね} 家庭教師は、まだ二十二、三才のお姉さんだったので若々しい挨拶をしてくれて、{ミクちゃんは何が一番分からないの?}と優しく聞いてくれたが、 「何が分からないかが分からないです…」 とミクが云うと{え?}と小首をかしげてしまったし、それなら試しに。とばかりに机とくっつけて置いてある木製の小物入れの上に飾られていたその問題の地球儀を取り、 {じゃあまず地図からやろうかと思うんだけど、今、私達が居る場所。茨城県は何処にあるか知ってるよね?} と聞かれたので「分かりません」と云うと、 {えー?犬の形している県だよ?} と云ってきたので、ミクが犬の形に見えた場所を指で差し示すともぅ {っ………っ……!!!} 無言になって、唖然となって、やっとの事で絞り出した言葉は、 {‥っ…なんで‥‥!?} というもの。だからミクはそれを差し示した理由を真面目に、純粋に、ちゃんと説明した。 「だって犬の形でしょ?だからココが頭で、ココが首で、ココが身体で、犬が横向きになってるから」 しかし、家庭教師によくよく教えて貰ってから分かった事なのだが、当時、もうすぐ四年生になるミクが頭だと思っていた場所は北海道。首だと思っていた場所は函館。身体だと思っていた場所はその他日本列島全域。
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