第1章

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「イイ男前に映ってるな。」「宇宙服のヘルメットがかい?」と 笑いあったが、俺はひきつった笑い顔だったかもしれない。 船長にも体調に問題はないか?と聞かれ、慌てて俺の撮影が下手で 苦笑したのだと言った。それから再度、画像を確認した。  問題の最後の1枚。  陽気に手を振るディックが写っているのだが、その真後ろに誰か、 白い女性の後姿のようなモノが、ハッキリ写っていると思えるのだ。 何故、女性だと思ったのか。宇宙服を着ていない。入院患者のような 検査服のようにみえる布に似ている。何より、長い金髪が写っている。   素早くこの画像のみ、自分のプライベートボックスへ移した。 カメラ本体のデータは消して、3枚しか無いという感じでクルーに 見せた。もしここでパニックにするのは危険だ。  常識で言うなら、まず幽霊云々、宇宙服云々よりも、船長が指摘通り 俺自身の体調、精神状態をチェックすべきだろう。現実的もなにもない。 船長が気づかってくれた事を理由に、定期診断をしておかないと忘れる。 などと言い訳で笑わせてから、メディカルシステムで数値や状態を採り 確認する。少し鼓動が早目である程度で良好である。では、あれは何だ?  今一度、自分ファイルで画像を確認した。目の錯覚かディックがぶれて 写っているのか。作業用の宇宙服も白いのだし、金髪は……。  写ってる!それどころか。さっきより首の角度が違っている! これは動画ではない。3D化スキャンしてもいないし。手が見えている。 指が5本、開いた状態になっている!さっきは手など写っていなかった。 落ち着こう、とにかくこれは異常な画像だ。見間違いと思いたいし 俺が精神的ストレスで疲れている方が、遥かにマシだ。意味がわからない。  念のため、他の3枚をくまなく確認する。何もおかしな点はない。 やはり、この白い女性的な人間らしきモノは4枚目だけに写っている。  ブラッドベリに、先ほどのディックの作業動画を視たいと言った。 全員がどうした?と聞いてきた。ディックは自分に落ち度は無かったし 完璧に作業したと言いたげだったので、ディックの作業が、完璧だからこそ 思わず視かえしたくなるんだ。と言った。  アシモフは自信家のお前らしくないが、俺も先ほどの勇姿は視たいよ、 ディック本人は視てないからな。堂々と誇ってくれよ。ブラッドベリは、
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