第1章

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「大雨降りそうだぜ! ライム、もう、戻ろう!」 「それじゃあ、みんな戻ろう。」 四人は屋上のドアに向かって歩く。良は一目散にドアへ走っていき、ドアを開けようとする。 「あ、あれ?」 「どうしたんだ、良。」 「あ、開かない………」 それを聞き、良に代わり、ライムがドアノブをしっかりと掴み、ドアを開けようとする。 だが、良のときと同じくドアは開かない。 「佐織、美代、お前たちも開けてみてくれないか? もしかしたら、コツがあるのかもしれない。」 佐織と美代は、代わりがわりにドアノブを掴み、どうにかドアを開けようとするがドアは開かない。むしろ、ドアノブ自体が回らないのである。 「完全に閉じ込められちゃったみたいね…………」 美代は、落ち込んではいるものの冷静だった。美代の横にいる佐織も、美代が冷静なおかげだろう。どうにか取り乱さずにいる。 取り乱しているのは、むしろ、冷静さを保たないといけないはずの男子。ここでは、ライムと良がその男子にあたるが、取り乱しているほうは、良である。 開かないドアを無理矢理開けようとしたり、殴ったり、蹴ったりと落ち着きがなかった。 それを見かねたライムが 「良!!いい加減に落ち着け!!」 と良を止める。 そして、ようやく取り乱していた良が落ち着いたのである。
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