第1章

105/234
前へ
/234ページ
次へ
「あれ………」 良が白いモヤに向かって指を差す。 「あれが………ライムたちが言っていた白いモヤ………ただの煙じゃないのかよ………」 良は、驚きのあまり目を丸く見開いている。 「誰もいないはずなのに………声が聞こえたのも気のせいじゃないんだよな………」 良は、ライムを見て笑ったが、その足はいまにも崩れ落ちそうなぐらいガクガクと震えている。 「もっとこっちにおいでよ」 目の前の白いモヤが、話しかけてきているのだろうか。四人は、警戒心を忘れずゆっくりと白いモヤに近づく。 遠くの方から見ると、不自然な白いモヤは確実に認識できるが、近づくと、その白いモヤはあまり認識できない。 それぐらい薄い白いモヤであることが分かる。 「で………俺ら、どうしればいいんだよ………」 「良くん! 黙って! 」 良の言葉に、佐織が静止をかける。 白いモヤの前に立つライム、良、佐織、美代。四人は、白いモヤから何か発せられるのを待つように静かにそのときを待つ。
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

515人が本棚に入れています
本棚に追加