第1章

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「聞こえないの? なぜ、あなたたちはここにいるの?」 もう一度、白いモヤのほうから同じ問いかけがくる。 それにライムが答える。 「それは、こっちが聞きたい。お前は、何なんだ? なぜ、みんなを殺そうとする?」 白いモヤが風に吹かれ、ユラユラと揺れる。 「やっぱり、あなたたちは何も知らない。歪みに呑まれたのかな? 心当たりはある?」 ライム、良、佐織、美代はあの眠気のことを思い出す。しかし、それは、口に出して言うことはない。 「その顔………心当たりがあるみたいね。」 「お前が………お前がみんなを殺ったのか?」 「半分は正解。半分はハズレ。」 「俺たちもいま、殺すのか?柏木にとりついて殺したみたいに。」 「あなたたちは殺さない。でも、状況次第で殺す。手段は選ばない。」 四人は、黙りこむ。結局、「今は」殺さないというだけで、のちのち柏木や食堂にいたみんなと同じように殺されてしまうのではないかという不安がよぎる。
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