第1章

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教室へ向かう途中、ライムが 「いま、思ったんだが、佐織と美代は、俺たちと別々で教室に入った方がいいんじゃないか?」 と提案する。 そう考えた理由は、良とライムだけならいつも行動を一緒にしているので何もおかしくない。それは、佐織と美代に関しても、まったく同じことがいえる。 しかし、この二組が一緒に行動するなどいまのいままで一度もない。だからこそ、教室に入るのは別々がいいのだ。 少女が言っていた言葉が気にかかる。長府学園に違いはないが、歪んだ学園と言っていたことを。 何気ない行動がその歪みに飲み込まれてしまうときもあれば、いつもと違う行動はその歪みを大きくしてしまうのではないか。 あくまで、ライムの考えであって、それに確証はない。 だが、ライムは容姿、運動神経だけなく、頭もいい。それは、学力のみならず、勘も鋭い。本人は嫌々だったが、それが評価され、生徒会長にも選出されたのである。 それが分かるからこそ、良、佐織、美代はライムの言葉に説得力を感じた。ライムの言葉どおり、佐織はすぐに行動に移す。 「じゃあ、私と美代はトイレに行って来るから、ライム君と良君は、先に教室に行ってて。」 「分かった。佐織、美代、気をつけろよ。」 「うん。ライム君たちも。」 そう言って、ライムと良、佐織と美代に分かれた。
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