第1章

120/234
515人が本棚に入れています
本棚に追加
/234ページ
二階は、嘘のように静まり返っている。まだ、休み時間というのにおしゃべりどころか生徒の姿すらない。 必ず授業終了後、どこかの教室の廊下では、先生と話をしている生徒たちがいるのだが、それも見当たらない。 普段は他の教室に勝手に入ったりしないのだが、今回は話が別で、勝手に入らせてもらう。 念のために掃除用具を入れてあるロッカーの中も誰か隠れていたりしないかと、各教室を確認するのだが誰もいない。 そして、何か手がかりとなるようなものがないかを探しても、それも見当たらない。 「誰もいないみたいだな。」 これ以上、二階を探しても時間の無駄だった。 そのとき、六時間目開始のチャイムが鳴り響く。 そのチャイムの音は、四人しかいないからだろうか。いつもより、さらに音も大きく、鳴り響いているように聞こえた。
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!