第1章

133/234
前へ
/234ページ
次へ
「横山、お前は誰に責任があると思う?」 「えっ? 何がっすか?」 体育館内にどっと笑いが起きる。 「仕方のないやつだな。隣とかに聞いてみろ。質問の内容教えてもらえ。」 安芸先生にそう言われると、横山は隣や前の生徒に質問の内容を聞く。横山は、あー、と言い、その答えはどうやら分かったようだ。 「それじゃ、横山。みんなの前で答えてみろ。」 「普通なら責任は、問題を起こした生徒とか、最近じゃ、先生とかも問題を起こすんで、とりあえず本人にあると思います。でも、実際は違うのかなと。」 「じゃあ、実際には誰に責任があるんだ?」 「多分ですけど………いいっすか?」 「構わん。答えてみろ。」 「多分、学校の責任者。校長先生にあるんじゃないかなと思います。」 横山は、周りをキョロキョロしている。どうやら、それが正解なのかどうか気になっているようだ。 「横山、正解だ。」 横山は、ホッとしたような顔をする。 「横山が言ったとおり、学校で問題が起きたらその学校の責任者、つまり、校長先生に責任があることになる。普通、クラスで問題が起きたら担任にその責任はありそうだが、実際には校長先生もそのとばっちりを受けないといけない。」 みんなは、いつの間にか安芸先生の話に聞き入っている。どうやら、いつもとは違う話になりそうなことを察し、何か面白いことを話すのではないかと期待している様子が伺える。 安芸先生は、教卓を両腕をハの字にして掴み、体育館内の全校生徒を右から左へと全員を見回した。
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

515人が本棚に入れています
本棚に追加