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「ああ………ああ………」
校長先生は、涙を流し、鼻水も垂れながら、もう恐怖のあまり、言葉を発することができないようだった。
もう、いつもの生徒たちに熱弁をふるう校長先生の姿はない。このような状況であることは分かっていても、泣きながら安芸先生に許しを請う校長先生の姿は無様であった。
「やめろ………やめてくれー!!」
校長先生がマイクに向かい、大声を出す。拡張された声は、鼓膜が破れんばかりの大声である。
あ、あれは………
ライムは見た。白いモヤが校長先生の中へと入っていくのを。
このとき、何が起こるかは分かっていた。
どのような過程であれ、結果は同じになる。
校長先生も、白いモヤに操られ、理科室の窓から飛び降りた柏木と同じ姿になる。
つまり、その結果は………
死である。
食堂でも同じだった。白いモヤが現れ、結果としてライム、良、佐織、美代以外は全員死んだ。
あの白いモヤが現れたら、必ず良くないことが起こる。それだけは確実に言える。
「良! 佐織! 美代!」
ライムは三人を呼ぶ。
表情を見て分かる。三人も白いモヤを見ただろうことを。
しかし、他の生徒はおそらく見えていない。
他の先生方も、もちろん見えていないだろう。
それなら、やるべきことは………
いま、できることはひとつしかない。
ライムは、腹の底から大声を出した。
「みんな!! 逃げろっ!!」
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